世界の外側
ビャッコバースの人物はみな存在し
各々の幸せを目指して生きているが
「ビャッコパシティが滅ぼされた」
という事件は存在しない
ライツキーパーの人間たちが
歪んだ正義感に倒錯しているということも
フィリア・クルスが世界征服をしていることも
全て彼らの作り話である
パシンとマデンスのクリエイターコンビが
狂気の空想世界・ビャッコパシティを作り
健康活動推進団体のパシココが
趣味で仲間たちと
自分が悪役の映画を撮り
人の幸せのあり方を考える
小規模な人権団体のライツキーパーが
彼らの作る劇に力添えをした
彼らの人生観には共通して
「問いの美学」があった
幸せの本質とは何か
優しさでどれほどの人を傷つけたのか
助けを求める人をどこで見限るのか
その問いきっと正解はない
しかし彼らは存在しない答えを
考え続けるだろう
時間は足を止めてくれない
考え、進むことをやめた途端
人は時間に置き去りにされ
死に至るのだから