マデンス
「昨日はあんなに暑かったのに、今日は結構肌寒いね。コート出してきてよかった」
パシン
「マデンスはそのコートがよく似合うねぇ」
マデンス
「そう? ありがと」
パシン
「ねぇ、ちょっとこの先の川見ていっていい?」
マデンス
「ほんと水のあるところ好きだよね、いいけど」
パシン
「アグちゃんが見たがるんだよ」
マデンス
「おお、結構きれいじゃん」
パシン
「えーっ、ココこんなにキレイなグラデーションしてたっけ?」
マデンス
「知ってる場所じゃないの?」
パシン
「知ってるんだけどさ、この川をよく見てたのはけっこう昔で、なんか記憶よりもずっとキレイな気がするんだよね」
マデンス
「ふーん」
パシン
「そうだそうだ、アグちゃん出さなきゃ」
パシン
「アグちゃん川いいねアグちゃん!」
マデンス
「いいねー」
パシン
「こういうところの水の流れってずっと見てられる」
マデンス
「別にこのまま見ててもいいけど、散歩しにきたんでしょ?」
パシン
「まぁね」
マデンス
「どっち通ってく?」
パシン
「左の坂を登ってこうかな。川沿いよりも車の通りが少なくて歩きやすい気がする」
マデンス
「わかった」
パシン
「歩道ない!」
マデンス
「おまけに意外と車も通るんだね。バスとすれ違った時はとくに怖かったよ」
パシン
「ごめーん…」
マデンス
「おっ、なになに、謝ってくれんの? んじゃーなんかお詫びしてもらおっかな〜」
パシン
「げっ! 言うんじゃなかった…! な、何をすればいいのでしょうか…」
マデンス
「んー、じゃあ……なにか甘いものおごって」
パシン
「そんなんでいいの? ならこの先にいいところがあるよ、着いてきて!」
マデンス
「なに撮ってるの?」
パシン
「いい感じの風景だなぁって。霧のかかった山ってなんかよくない?」
マデンス
「物好きだなぁ」
パシン
「歩いてたら晴れてきたね!」
マデンス
「……ねぇ、どこまで行く気なの? なんかこの辺りちょっとにおわない?」
パシン
「実はね、近くに養鶏場があるんだよ」
マデンス
「そのにおいか。びゃッちはこういうにおいは大丈夫なの?」
パシン
「結構キツい…」
マデンス
「じゃあ早く先に行っちゃおうよ」
パシン
「まってまって、この先に卵の直売所があるんだよ」
マデンス
「ほう? もしかしてそこに行こうと?」
パシン
「そうそう。そこで売ってるプリン、食べてみたくない?」
マデンス
「養鶏場のプリンか。いいね、行こう行こう」
マデンス
「……んで、さんざん迷ったあげく"きいろいソフトクリーム"なんてのにしちゃったわけだけど……思ったほど黄色くはないね」
パシン
「なんか名前からして、ココでしか食べられなさそうな感じがしちゃって……味はどう?」
マデンス
「ん、うまい。プリンみたいな味がする」
パシン
「どれどれ……ホントだ! 材料が似てるからかな?」
マデンス
「………なんで一本しか買わなかったの?」
パシン
「だって、初めて食べる味で、もし口に合わなかったら…ねぇ?」
マデンス
「それだけじゃないでしょ?」
パシン
「……っていうのが、まぁ…6割ぐらい?」
マデンス
「あとの4割は?」
パシン
「まぁまぁいいじゃない! なんだかんだで結局プリンを味わえてしまったわけだし、甘いものは手に入った……!」
マデンス
「ふふっ、得したなぁ〜びゃッち?」